2011年4月10日日曜日

背骨の件(体幹トレーニング)

Q.このエクササイズはすごくシンプルで続けやすいので
これで効果が出ればいいな~と思っております。

さて質問ですが背骨の件です。

今まで私はS字状になった背骨が正常な状態だと
教わってきたのですが、ここではそれよりも直線的な状態が基本だといわれてます。

常に直線的な状態に保った方がいいのですか?
それともこのエクササイズをするときだけこの状態を保てばいいのですか?

よろしくご指導ください。



A.お尋ねのS字カーブの件です。

ですが、その前にちょっと考えて欲しい事があります。
それは自然であるという事とよいと言う事とは果たして一致するのか、と言うことです。

これは別にエクササイズに限ったことではなく、日常の全てに当てはまることだと思います。
あるがままの自然は人にとって有益であるか。つまり生きやすいか、あるいは快適か。

自然との付き合い方、他人との付き合い方、距離感、自分との向かい合い方も含めてです。
結論が出るかどうかは別にして、考えてみても面白いと思います。

さて、S字カーブが自然な人の骨格だと言うのは事実です。
何も苦労してS字カーブをえがいている訳ではなく、二本足で立つ、歩くと言う進化の中で獲得した形質です。

ですから、多分ほとんどの人は当たり前にS字カーブで生活しています。
ほとんどの人、と言ったのはそうでない人もいる、と言うことです。
つまり普通じゃない人です。

別の言葉で言えば、訓練で普通じゃ無くなった人たち、と言うことです。
例えば能や歌舞伎役者、きちんと発声訓練を重ねた歌手。

つまり、腹から声を出せる、そして立ち姿の美しい人たち。
或いは陸上競技の短距離走者(これは為末選手の著書にありました)。
またクラシック・バレーの基本姿勢も同じです。

もっとも、彼らが舞台や競技を終えた後は知りません。

姿勢が良くて力感が感じられる姿は大抵あるがままのS字ではありません。
あるがままでなくなるために訓練してるわけですから、当たり前と言えば当たり前ですが・・・。

本人たちがS字と意識しているかどうかは別ですが、訓練で、美しくそして力強くなる、と言う事は、生まれ付いての天然自然のままから一歩踏み出した、
と言うことでもあります。

背骨の僅かな変化は、普段の生活では余り気になりません。
身体の不調などが無ければ普通は意識されないものです。

でも、意識されないのと重要ではない、と言うのは全く違います。
むしろ気付きにくいものの中にこそ大事なことがあるものです。

S字カーブを真っ直ぐにするためには、自然の骨格を変化させるためにある種の筋肉を緊張させます。

その僅かな緊張は、美しさや力感と言う身体の変化だけでなく、精神の集中も引き出すものです。
ですから、いつも真っ直ぐに、と言う必要はありません。

しかし、必要な時にはその緊張を引き出せるのは、非常に大事な能力だ。
と私は思います。

                      太氣会 天野

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